ヤマブシタケの効能に科学的根拠はある?研究の現状を整理

ヤマブシタケの効能に科学的根拠はある?研究の現状を整理

ヤマブシタケの研究では、何が調べられている?

物忘れが気になる夜に、ヤマブシタケに本当に根拠があるのか、スマホで調べていませんか?この記事では、ヤマブシタケの研究で何が調べられているかと、研究結果を製品の効能と分けて読む見方を解説します。

研究されているのは、どんなテーマ?

ヤマブシタケの研究には、認知機能を調べたものがあります。その一つが、PubMed掲載の論文(2019年)の試験です。ヤマブシタケの子実体(キノコの本体部分)を12週間摂取してもらい、認知機能を調べました。

この試験は、無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験という方法で行われました。参加者をくじ引きのように2つに分け、一方にはヤマブシタケを、もう一方には見た目が同じでヤマブシタケを含まないものを摂取してもらいます。どちらを摂取したかは、参加者も調べる側も知らないまま比べる方法です。

結果は、複数ある認知機能検査のうち、ミニメンタルステート検査でのみ、認知機能の有意な改善と低下の抑制が認められたというものでした。有意とは、偶然とは考えにくい差があったという意味です。

ただし、論文の要旨には、対象が何人だったかも、健康な人か患者かも書かれていません。この結果が自分に当てはまるかどうかは、要旨だけでは判断できません。

ヤマブシタケの研究には、健康な成人を対象にした試験や、軽度認知障害の人を対象にした試験もあります。対象が違えば結果の読み方も変わるため、研究を見るときは、まず誰が対象なのかを確かめましょう。

「効能」と、研究で見られた変化を分けて考える

ヤマブシタケの研究は、「誰が・どれだけ・どのくらいの期間摂取して・何の検査で測ったか」に分けて読むのがおすすめです。12週間の試験なら、書けるのは「ヤマブシタケの子実体を12週間摂取した試験で、ミニメンタルステート検査の結果に差が出た」というところまでです。「ヤマブシタケで認知機能が良くなる」とまでは言えません。

研究で見られた変化は、その試験の対象者、量、期間、検査の範囲での結果です。一方、製品に表示できる効能は、研究結果とは別の論点です。表示については、次の章で厚生労働省の説明をもとに整理します。

「脳にいい」と書かれた商品説明を見かけたときは、どの研究を指しているのかを探してみましょう。研究の中身を一つずつ確かめると、言えることと言えないことが見分けやすくなります。ヤマブシタケの研究の全体像は、ヤマブシタケ(ライオンズメーン)の効果とは?研究の現在地と食べ方・注意点で紹介していますので、あわせて参考にしてください。

研究結果と製品表示を混同しないための、健康食品の見方

研究で見られた変化と、商品に表示できる内容は同じではありません。厚生労働省の説明から、「健康食品」の意味と表示できる範囲を整理します。商品の説明文を読むときに、研究結果と区別しやすくなるでしょう。

「健康食品」に決まった定義はあるのか

厚生労働省は、いわゆる「健康食品」には法律上の定義がなく、医薬品以外で口から摂取する食品のうち、健康の維持・増進に役立つとうたわれたり、その目的で利用されたりするものを指すと説明しています。「健康食品」という呼び名だけでは、研究で確かめられた食品かどうかまでは分かりません。

表示できることと、できないこと

厚生労働省は、保健機能食品以外の一般的な健康食品には、効果や機能を表示できないとしています。研究で変化が見られたことと、商品に効果を書けることは、別の話です。商品の原材料表示の見方は、植物性プロテインのデメリットは?たんぱく質・糖質・味・原材料の見方を解説で紹介していますので、あわせて参考にしてください。

研究の種類で変わる、根拠の強さ

同じ「研究で調べられた」でも、細胞を使った実験と、人を対象にした試験とでは、言えることの範囲が変わります。研究の種類ごとに、結果をどこまで読めるかを整理します。

細胞や動物の実験は、どこまでの話か

商品の説明に「マウスの実験で」「培養した細胞で」と書かれていたら、人で調べた結果ではないと受け止めましょう。細胞や動物の実験は、その名のとおり、人以外を対象にしたものだからです。同じ結果が人にも当てはまるかどうかは、人を対象にした試験で調べなければ分かりません。

人を対象にした試験は、どこまで言えるか

国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所は、健康食品について、多くの製品では人に対する効果が調べられていない場合があると説明しています。人を対象にした試験があること自体が、判断の大事な手がかりです。ただし、試験があれば十分というわけではありません。何人で、何日間、何を測った試験なのかを確かめましょう。人数が少なく期間が短い試験なら、結果が当てはまるのは、その試験の対象者と条件の範囲までです。

複数の研究をまとめた分析は何がちがう?

同じテーマの研究を集めてまとめる分析は、システマティックレビューと呼ばれます。Cochraneは、システマティックレビューでGRADEを用い、アウトカムごとに根拠の確実性を評価するよう示しています。アウトカムとは、研究で調べた項目のことです。「効果がある」と書かれた記事に出会ったら、どの項目についての評価か、確実性はどの段階かを見てみましょう。

健康な成人を対象にした試験では何がわかった?

健康な成人41人が参加したヤマブシタケの試験では、1回摂取した60分後と、28日間摂取した後とで、結果が分かれました。それぞれ何が見られ、どこまで言えるのかを読み解きます。

健康な成人の試験で見られた結果(1回摂取後と28日間)

18~45歳の健康な成人41人を、ヤマブシタケを摂取するグループと、ヤマブシタケを含まない比較用のもの(プラセボ)を摂取するグループに無作為に分けて行った試験が、PubMed掲載の論文(2023年)で報告されています。どちらを摂取したかは、参加者にも調べる側にも伏せられていました(二重盲検)。

その結果は、ヤマブシタケ1.8gを1回摂取した60分後に、ストループ課題の遂行が速くなったというものでした。プラセボ群との間には有意差があり、p=0.005です。ストループ課題とは、「あか」という文字が青色で書かれているときに、文字の読みではなく色のほうを答えるような課題です。

一方、28日間摂取した後の主観的ストレス(本人が感じるストレス)の低下は、有意差ではなく傾向にとどまりました。p=0.051です。1回摂取後は課題の成績、28日間では本人が感じるストレスと、調べた項目も別でした。

この結果から言えること、言えないこと

言えるのは、この試験の条件の中で、1回摂取した60分後の課題成績に、プラセボ群との差が見られたということです。

ただし、28日間の結果から「続ければストレスが下がる」とは言えません。差がはっきりした結果ではなく、傾向にとどまったからです。

また、日常の物忘れが減ると言うこともできません。この試験で報告されているのは、ストループ課題の成績だからです。対象は18~45歳の健康な人なので、46歳以上の人にそのまま当てはめることもできません。

この試験は、41人というごく小さな規模の、パイロット試験です。パイロット試験とは、本格的な大きな試験の前に行う、予備的な試験のことです。同じ結果がくり返し得られるかは、別の試験で確かめる必要があります。

ヤマブシタケの商品説明で「集中」や「ストレス」といった言葉を見かけたら、1回摂取後の課題成績の話なのか、28日間の傾向の話なのかを見分けましょう。この結果は、「1回の摂取後に課題成績で差が出た」という範囲で受け止めるのがおすすめです。

認知機能が気になる人を対象にした研究の現状

軽度認知障害の人を対象にしたヤマブシタケの試験では、報告はごく少数で、同じ結果は再現されていません。この結果を認知症の予防や治療に結びつけてよいのかも、あわせて見ていきます。

軽度認知障害の人を対象にした、ごく少数の試験で見られた結果

家族の物忘れが気になって調べていたら、「ヤマブシタケで認知機能が改善した」という研究を見つけたとします。そんなときは、まず、参加した人がどんな人だったかを確かめましょう。

PubMed掲載の論文(2024年)によると、軽度認知障害の患者を対象にした二重盲検プラセボ対照試験で、ヤマブシタケを摂取した人たちの認知機能が一時的に改善したという結果でした。二重盲検とは、ヤマブシタケとプラセボのどちらを摂取しているのかを、参加者にも研究者にも分からないようにした方法です。

ただし、対象はごく少数の患者です。また、この所見は再現されていません。別の研究で同じ結果が確かめられるところまでは、進んでいないということです。

前述の健康な成人の試験とは、参加者も結果の中身も別の試験です。軽度認知障害の人で見られた結果を健康な人に当てはめたり、その逆をしたりしないようにしましょう。改善が一時的だったこと、ごく少数だったこと、再現されていないことを合わせて読むのがおすすめです。

認知症の予防や治療と結びつけて考えていい?

結びつけて考えるのは、おすすめしません。

理由は、先ほどの試験の結果が、ごく少数の患者で一時的に認知機能が改善したというものだからです。しかも、同じ結果は再現されていません。ここで取り上げた情報から、ヤマブシタケが認知症の予防や治療に役立つと言うことはできません。

「認知機能が改善した」という言葉を、「認知症がよくなった」と読んでしまう人は少なくありません。しかし、この試験で報告されたのは、一時的な認知機能の変化です。認知症を防ぐことや、治すこととは別の話です。

物忘れが気になる人や、すでに診断を受けている人は、食品で対応しようとせず、まず医師に相談しましょう。治療中の人は、主治医の指示に従うことが大切です。

研究と同じ摂り方を、食事や市販品で再現できる?

ヤマブシタケの研究で使われた量・期間・形と、食事や市販品で口にするものを並べて比べます。同じヤマブシタケでも、条件が違うことがあります。手元の製品を研究に照らす見方と、別のキノコの研究との切り分け方も分かるでしょう。

研究で使われた量・期間・形はどう違う?

前述の健康な成人の試験は、1回だけ摂取した場合と、一定期間続けて摂取した場合とで、結果が分かれました。同じヤマブシタケでも、摂る回数と期間によって、見られた結果が違ったということです。

商品ページの研究の紹介は、1回の摂取なのか続けた摂取なのか、どれだけの量だったのかに分けて読むのがおすすめです。そのうえで、商品の1日の目安量と見比べましょう。

生のキノコと粉末・サプリのちがい

スーパーの生のヤマブシタケと、ドラッグストアの粉末やサプリを前にすると、どれが研究に近いのか迷います。まず違うのは、量の書き方です。生のキノコはパックの重さ、粉末は内容量と1回の目安量、サプリは1粒あたりの量と1日の目安の粒数というように、表示の単位がそろっていません。

前述の1回摂取の試験は、量をグラムで示していました。ただし、生のキノコ何グラムがその量に当たるのかを示す資料は、この記事で使った資料の中にありません。粉末やサプリについても同じです。そのため、「生のほうが研究に近い」とも「サプリのほうが近い」とも言えません。

手元の製品の表示と研究条件を照らす見方、別のキノコとの切り分け方

前述のとおり、健康食品は製品そのものの効果が人で調べられていない場合があります。手元にヤマブシタケの製品があるなら、パッケージの表示と研究の条件を並べて読みましょう。最初に、1日の目安量あたりヤマブシタケが何g入っているかが書かれているかを確かめます。表示から含有量が分からない製品もあり、その場合は研究の量と比べられません。

次に、飲み方が1回きりなのか毎日続けるのかを、研究の摂り方と見比べましょう。原材料名に子実体と書かれているかどうかも、形を比べる手がかりになります。また、前述の試験の対象は健康な成人で、年齢も限られていました。自分がその対象に近いかどうかも考えておくとよいでしょう。

なお、舞茸など別のキノコの研究結果を、ヤマブシタケの根拠として読むのは避けましょう。別のキノコは、研究も別です。製品の説明に研究が紹介されていたら、どのキノコを調べた研究なのかを確認するのがおすすめです。

持病や服薬があるとき、試す前に誰へ相談する?

ヤマブシタケそのものの安全性について分かっていることと、持病や服薬がある人が、試す前に誰へ相談すればよいかを案内します。

ヤマブシタケ自体の安全性データについて、分かっていないこと

この記事で取り上げた資料には、ヤマブシタケ自体の安全性を調べたデータがありません。そのため、ヤマブシタケの安全性については、この資料から判断できません。分かっていないことは、分かっていないまま受け止めましょう。

持病・服薬がある人は、医師・薬剤師への相談を

厚生労働省の「健康食品の正しい利用法」には、健康食品と医薬品を併用して、医薬品の作用や体調に影響が生じた事例が報告されていると書かれています。持病や服薬がある人は、試す前に医師か薬剤師に相談しましょう。治療中の人は、主治医の指示に従うことが大切です。

商品 内容量 糖質 人工甘味料 白砂糖 たんぱく質(由来)
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ザバス プロテインバー チョコレート味 44g 表示なし(糖類7.6g) 使用(スクラロース) 使用 17.2g/乳・大豆
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各商品の数値は、2026年9月25日時点で各メーカーの公式サイトに掲載されていた栄養成分表示によります。商品の改訂により変わることがあります。

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よくある質問

ヤマブシタケの効果は、科学的に確かめられていますか?

十分に確立されたとは言えません。ヒトを対象にした試験は報告されていますが、参加者がごく少数の試験や、調べた項目が限られた試験、同じ結果が再現されていない試験があります。見られた変化は、それぞれの試験の対象者と条件の範囲での話です。試験ごとの中身は、「健康な成人を対象にした試験」と「認知機能が気になる人を対象にした研究」の章で整理しています。

研究で効果が見られた場合、市販品でも同じ効果が期待できますか?

同じ効果が得られるとは言えません。研究は、決まった量・期間・形で行われています。市販品の1日の目安量や形がそれと同じかどうかは、パッケージの表示で確かめる必要があります。表示から含有量が分からない製品は、研究の量と比べられません。生のキノコや粉末が試験の量にどれだけ当たるかを示す資料も、この記事では確認できていません。見比べ方は「研究と同じ摂り方を、食事や市販品で再現できる?」の章をご覧ください。

まとめ

ヤマブシタケには、ヒトを対象にした研究があります。ただし、規模が小さい、調べた項目が限られる、結果が再現されていないといった条件があり、効能に十分な根拠があると言い切れる段階ではありません。商品の説明で研究を見かけたら、誰が対象で、どれだけの量を、どのくらいの期間、どんな形で摂取したのかを確かめることをおすすめします。不安な点はかかりつけの医師にご相談ください。

 

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